構想から2年。
プロジェクト立ち上げから1年。
ようやく『なつやすみの巨匠』が明日クランクインを迎えます。
きっかけは私の個人的な想いからでした。
一つは昨今の映画業界における企画の偏りについて。
漫画原作も大いに結構ですが、そればかりでこの先どうするんだと。
主役のビジュアルが似てるかどうかとか、コスプレ大会じゃあるまいし。
でも、その現状を居酒屋で愚痴っているだけの自分が一番カッコ悪い。
だから自腹を切ってでもオリジナル企画を立ち上げ、前例を作ってやろうと。
一つは故郷・福岡への想い。
生まれ育った街を舞台にすることで自分の中の郷土愛を形にしたい。
計り知れないポテンシャルを秘めた福岡という街を、さらに面白いものにしたい。
ゆくゆくはハリウッドのような映画産業の街にしたいと本気で思っています。
一つは寝たきりの父への想い。
重度の糖尿病で失明し、末梢神経も冒されベッドから起き上がることも出来ない父。
父はその目で息子の映画を観ることは出来ません、でも父から教わった大切なことを次の世代に伝えたい。
そのことで私自身も救われる気がするのです。
いずれもごく個人的なものです。
ですがそのどこかに共感し、面白がってくれた人たちがどんどん集まって大きなうねりとなっていきました。
その結果、当初は思いもしていなかった規模の企画になりました。
何事もやってみるものです。
もし居酒屋で愚痴っているだけの男であったなら、数年後も目にするのは同じ光景だったことでしょう。
今は全く違う光景が眼前に広がっています。
まずこの企画に乗ってくれた中島監督。
ありがとう。
私と変わらぬ意気込みで取り組んでいる姿が印象に残っています。
何度も福岡へ渡り、子役キャストたちの演技レッスンを繰り返してきましたね。
その成果もあり、オーディション当初からは見違えるほどの成長を彼らは遂げました。
これだけで一つのドキュメンタリー作品として成立しています。
続いて予算的に無謀ともいえるこの企画に賛同してくれた半田プロデューサー。
炎のような情熱と、氷のような知性を併せ持つ逸材だと思っています。
熱意と巧みな交渉術により、次々と大型キャスティングを決めてきてくれました。
私と監督だけでは最初の勢いで突っ走ることは出来ても、作品としてまとめることなど到底不可能でした。
ありがとう。
さらに若くて優秀なスタッフも揃いました。
各部署の仕事に関しては何も心配していません。皆さん正真正銘のプロです。
そして何より、オーディション抜擢から長い期間一緒に頑張ってくれたキャストのみんな。
野上天翔、村重マリア、永江蓮、東倫太朗、安達葵紬。
君たちの本当の勝負はこれからです。
自分の感性を信じて、大いに暴れまくって下さい。
消極的なミスは怒るけど、積極的なミスならいくらでもしていいよ。
待つから、大人は。
最後に、ご支援下さっている皆さん。
ここまで来られたのも皆さんのおかげです。
とにかく事故のないように、細心の注意を払って撮影に臨みます。
これからの二週間、映画の神様が見守って下さいますように。
製作・脚本 入江信吾